アジア博物館「ペルシャ錦館」にてアナビアン・コレクションを一般公開 1993年

日本各地の美術館に納入されたペルシャ古美術、「アナビアン・コレクション」のなかでも、もっとも重要で学術的研究の対象として注目されたのがペルシャ錦だった。この驚くべき織物の技術は、17世紀の初め、英主シャー・アッバースⅠ世が文化芸術を奨励し、サファビー時代に大きな発展を遂げた。その美しさの虜になったのがラヒム・アナビアン。17歳の若いときからさまざまな困難を乗り越え、ペルシャ錦の収集、保存に努めた。永続的に保管・展示するために日本古来の土蔵造りの蔵が博物館として建設され、そこで一般公開されるようになった。

アジア博物館では2000点のペルシャ錦の展示だけではなく、絣織の起源と言われている中央アジアの織物、イカットも含まれている。正倉院に匹敵するシルクロードの織物に関しては、日本一の蒐集。

左側:ラヒム・アナビアンの息子、ジョージ・アナビアン。ニューヨーク大学の非常勤講師。右側:ラヒム・アナビアンの娘。

アジア博物館で井上靖氏の書斎が再現された展示館 1993年

小説を執筆していた机の下のペルシャ絨毯は、テヘランのアナビアン家に敷かれていたもの。井上氏が気に入ったが、ラヒム・アナビアンは「うちのものだからこれは譲れない」と断った。しかし、井上靖氏が日本へ戻った時には、その絨毯が先に到着していた。その経緯は「絨毯とタピスリー」(読売新聞社発行)の雑誌に執筆掲載されている。

ラヒム・アナビアンの息子ジョージがアジア博物館内のアナビアンの錦菅を訪問。

イラン・イスラム革命の反乱から避難させたペルシャ錦の世界一大きなコレクションが鳥取県のアジア博物館で展示されていることを安心するジョージ・アナビアン。ニューヨークで古美術商を経営しながらニューヨーク大学でペルシャ美術史の教鞭を執る。2000点に上るペルシャ錦蒐集の目録と「ペルシャ錦」の共同著者

アジア博物館開設の出版記念

「ペルシャ錦」の本が初版発行から17年後に続編を刊行1997年

三笠宮殿下に前書きを寄稿していただき、出版記念パーティーで再び本を献上。掲載されている毛織錦は、アジア博物館・井上靖記念館の「ペルシャ錦館」にて展示。

パーティーでは、ベールを被ったプーリー・アナビアン(ラヒム・アナビアンの娘)によってペルシャ打弦楽器サントゥールが奏でられた。ご挨拶には井上靖氏の夫人とNHKシルクロードチーフディレクターの鈴木肇氏が列席した。共著者のジョージ・アナビアン(ラヒム・アナビアンの長男)がニューヨークから来館。

アジア博物館開設の出版記念

東京の中近東文化センターにてペルシャの書道の贈呈

アナビアン家は、西アジア考古学の研究に寄与する出土品の蒐集、工芸品、書道など多岐に渡り、芸術品を通して日本とペルシャの文化交流を促進している。過去、50年の間にアナビアン・コレクションを公開する幾多の文化イベントに世界的著名なオリエント学者、三笠宮殿下が来賓としてご参加された。

シルクロード終着駅、長年親交を深めた奈良薬師寺にてペルシャの書道作品を三笠宮殿下に寄贈 2021年

美術館・博物館での展開

浜松楽器博物館の展示室 1997年

アナビアンコレクションからペルシャ伝統楽器が展示されている。

「悠久のペルシア~錦と陶の美7000年~」2013年

ペルシャ美術工芸品、アナビアン・コレクションが初代から2世代に受け継がれた。プーリー・アナビアンの協力によって、ペルシャ伝統楽器コレクションが浜松楽器博物館に展示された。